家族の記憶とともに住み継ぐ古民家リノベーション O様邸
Oさんがお住まいの建坪58、築42年の典型的な日本家屋は湿気が多く、室内が暗いという悩みがありました。間取りも、仏間を中心とした座敷が南向きの一番いい場所なのに、ほとんど使わない状態。なんとかしなくては!と改築を決断したときに、縁あって渡邊さんに出会ったそうです。「とにかく悩んで考えて、ひとつひとつを決めていったので後悔はありません。大満足!」とおっしゃるO様邸にお邪魔しました。
〜随分と大きな昔ながらの日本家屋ですね。これだけのものを造り直すのは大変だったでしょう。
O様/工事中は家を半分に区切って、片方をリノベーションしながらもう一方で暮らすという生活でした。これに慣れるまでは、ちょっとしたストレスでしたね(笑)。職人さんが仕事にかかる時間は朝早いですし、午後のお茶の準備も毎日となると大変。でも、それも楽しみに変えて乗りきりました!来てくださった職人さんたちが、みなさんいい方たちだったので、できたことです。
〜職人さんと接する機会なんて、普段の暮らしにはなかなかないですよね。
O様/このあたりでは家を建てたり改築するとなると、みなさん、昔から地元と関係の深い業者さんにお願いするんです。我が家の場合、設計から施工管理まですべてを渡邊さんに委ねましたから、大工さんも他所の人。慣習に沿わないやり方にドキドキしたんですけど、いい家を造るには、設計士と職人さんとの関係が良好であることも大事ですよね。実際、渡邊さんと職人さんたちはいいコンビネーションで仕事をしてくださったし、仕事ぶりを毎日間近で見られたのは貴重な経験でした。気づくと、庭に倒れていた梅の古木に添え木を当ててくださっていたり、職人さんたちの思いやりにも触れました。
〜家の変身ぶりはいかがですか?
O様/ここまで変わるとは思っていませんでした。まるで新築ですよね!それでいて、おじいちゃん(ご主人のお父様)が建ててくれた、この家に宿る思いを大事にしてもらったリノベーションだと思います。この家は、主人が生まれ育った大切な家。だから残す部分と変える部分のバランスには気を遣いました。
〜ガラリと間取りが変わりましたね。
O様/当初、主人は「畳の部屋が2間いる」と言っていましたが、それだと以前の間取りと同じ。どうしようと悩んでいると、渡邊さんは、柱の位置や天井高など構造部分をきちんと確認した上で、夫と私の希望が叶う案を提案してくれました。それは、2間続きだった和室を1間にする代わりに、1間を8畳から10畳に広げ、フローリングのリビングと仕切る襖を吊し戸にすることで境に敷居を設けず、開け放せば段差なく大広間にできるというモダンなアレンジ。これだと、家の南側を家族の憩いの場にできますし、いざというときは大人数が集う昔ながらの寄り合いも可能です。改築前は和室はほとんど使われず、普段、家族は家の北側で暮らす生活でしたが、今では、家中を使い切っています!
〜玄関ホールを斜めに切ったオシャレな展示壁面に、家族全員で使う図書室兼作業部屋まであって、各スペースの目的が明快な機能性の高い家造りですよね。ところで、長い間悩まされた湿気対策はどうなったのでしょう?
O様/他社のプランではそのあたりのことはほとんど解決策が示されなかったのですが、渡邊さんは湿気の原因を調査して、根本的な解決法を提案してくれました。大きくは床下改善を始め、雨に備えた雨樋の修繕や雨水浸透枡の設置、井戸を雨水タンクとして再利用するなどの方法で、何重にも雨水調整ができる環境を整えてもらったんです。
細かい部分では、洗面台のタイルに使う目地材にカビが生えにくいものを使ったり。一番の解決法は無垢材をふんだんに使ったことと、押し入れの中に至るまで珪藻土を塗ったことかな。天井は珪藻土クロスですが、限られた予算のなかで最大の効果を出すのも家造りの課題。そこのところを渡邊さんは上手にすくいあげつつ、悩みを解決してくれたと感謝しています。
〜リノベーションで、手にしたものは何でしょう?
O様/古くなった家を壊して新しい家を建てるのは忍びないですが、新旧を上手に織りまぜたリノベーションなら、喪失感もなく新しい気持ちで生活を始められます。湿気のない明るい空間は、間取りを大きく変えたことで手に入れることができた貴重な快適性です。
休みになると家族で外に出かけることが多かったのに、今ではみんな家にいます。だって、こんなに気持ちいい空間だから出かけなくてもいいですよね。子どもたちは友だちを家に連れてくることも増えました。私にとって家がストレスだったのに、今では家が一番好きな場所!お友だちにも「リノベーションはいいよ」ってすすめています(笑)。